消費が自己実現の手段なら、無個性な箱を用意すればいい
無印良品のスタンプ、NIKEのシューズから、選択する自由の楽しさを考え、日本の旅館の欠点を鮮明にします。
選択する欲求
先日、無印良品でノートを買いました。
何というかちょっとオリジナルなノートになった気がして愛着がわいてきますね。
(ちょうど、中学生ぐらいの女子がノートの表紙にでかでかと落書きするのも似たような気持ちで、オリジナリティーを出したいのかなぁと思ってみたり。)
この場合、無印良品が提供しているのは、なんてことはないただのノートです。
しかし、そのなんてことのなさ、無個性であるがゆえに、消費者が自由にアレンジ、カスタマイズすることができ、自分の意図を自由に反映させた自分だけのオリジナルノートを手にできるのです。
逆に、個性的な商品だと、そこには消費者が手を加える余地がなく、結果的に他人とかぶってしまい無個性なモノになってしまいます。
ところで、この無印ノートに似たものって他にないかな、と思ったら、ナイキのシューズでも自由にスニーカーをカスタマイズできるサービスがありましたね。シグネチャーシューズと呼ばれているようです。
これも似たような仕組みで、スニーカーのスタイルを選んで、そこから先はあらゆるパーツの色を選択、文字を入れるなどのアレンジができるのです。
ちょっと気になったので、NIKEのサイトにいくと、サイト内でデザインができるようになっていました。
中学校時代にお世話になったエアフォース1をカスタマイズしてみます。
11項目ものパーツをアレンジできます。
5分ほど、デザインを調整して、吉田しげる好みにしました!
どうでしょうか? 客観的にかっこいいかはともかく、オリジナルでおそらく世界に一個しかないスニーカーをデザインできるのです。色はもちろん、ソールのデザインや、靴の裏の色まで細部までデザインできます。
やはり、編集しているときは楽しかったですし、何より自分でデザインしたことによって、愛着がわきますし、正直買いたくなりました笑
無個性なモノを、消費者自身が個性的に変えることでオリジナルな消費ができるコト、言い換えれば真っ白なカンバスを与えれば、消費者自らが色とりどりの絵を描いてくれるのだ。こうしたサービス形態は自己実現欲求の強い今の時代に必然のサービスなのでしょう。
選択できない日本の旅館
一泊二食付きの馬鹿げたシステムが日本旅館を滅ぼす - 牧野 知弘 という日本の旅館についての記事です。
その記事の趣旨は、海外からの旅行客が日本の旅館の画一的なサービスにうんざりしているということでした。
確かに、チェックインをすれば、温泉に入るように促され、ひとやすみすれば、豪華な懐石料理が出される。そして、再び温泉でゆっくりして、テレビを見て、卓球でもして、あとは寝るだけ。
ちょっと外でぶらつこうにも、旅館の多くは都会からは遠いこともあり、周辺に出歩いて楽しめることがないことが珍しくない。
そこには、行動の自由がない。それは長年固定化してしまった、旅館ビジネスの形で、海外の旅行者のみならず、日本の旅行者でもさすがに飽きてきていないか。
結果的に、旅館ではなく、ビジネスホテルやカプセルホテルといった安くて最小限のサービスに流れるのだ。
それが悪いことだとは思わないが、せっかくキレイな景色と静かで落ち着ける魅力をもった旅館なのだから、オリンピックを見据えても、改めてサービスの形を見直す時期ではないか。
しげるの提案!
・旅館の食事の有り無しは選択可能にしよう
・旅館周辺のおいしいお店や魅力的なスポットを、パンフレットやホームページで紹介する
・紹介した場所には、送迎の車で行けるようにする
旅館が生き残る術は、選択の自由、意思決定の自由、行動の自由を提供することでしょう。それがもっとも時代にフィットしたサービスだと思います。
しげる的まとめポイント
・選択する欲求を満たすサービスは時代にフィット
・シンプルな"箱"を提供すれば、消費者は個性的な消費ができる
・選べるって楽しい!