うまくググれないケース エラスムス 大衆の忘恩編
うまくググれないシリーズ第2弾です。
前回のケースは、調べたい状況が複雑で細かいために、キーワード化するのが難しく、また法律がからむためにネットだけでは正確に情報が得られないというものでした。
今回は、今話題の「反脆弱性[上]――不確実な世界を生き延びる唯一の考え方」で、「エラスムスが「大衆の忘恩」と呼ぶ現象は、~~~」という箇所が気になり、エラスムスさんがどうゆう人で、「大衆の忘恩」というワードがどうゆう文脈で使われたのか、ということをググりました。
ググっても出ない
ところが、「エラスムス 大衆の忘恩」と調べてみても、Googleでは、391件がヒットしましたが、ピッタリと「大衆の忘恩」というワードが使われている記事は見当たりませんでした。結局のところ、エラスムスがどうゆう文脈で「大衆の忘恩」という言葉を使ったのかは調べられませんでした。
では、「"大衆の忘恩"」で調べるとどうか?
"~~"と引用符で囲むことにより、そのキーワードに完全に一致する記事だけを調べられます。
しかし、"大衆の忘恩"で調べたところ、わずか6件しかヒットしません。
キーワードが引っかからない原因
ここで考えられる可能性は2つです。
A.エラスムスは「大衆の忘恩」というキーワードとして使用いない
B.「大衆の忘恩」というキーワードが、Google上でほとんど発信されていない
Aの場合は、「反脆弱性」の著者タレブが、エラスムスの主張の一部を要約して使っているのかもしれません。
たいていの過去の学者は、特定のキーワードとセットで記憶されているのが普通です。例えば、アインシュタインなら相対性理論、チューリングならチューリング・テスト、ゲーデルなら不完全性定理、という具合に。
しかし、今回のように「エラスムス+大衆の忘恩」で出ないということは、エラスムスとセットで記憶されているほどのキーワードではないということなのでしょう。
Bの場合は、ブログを運営する立場からすれば、オイシイ話です。「大衆の忘恩」というキーワードが発信されていないとすれば、競合のいない記事を書けるからです。
今有名な本の中で、エラスムスの「大衆の忘恩」と書かれている以上、私のように気になってググる人は少なからずいるでしょう。
しかし、私は「大衆の忘恩」をエラスムスがどうゆう文脈で使ったのかが分からないために、「エラスムス 大衆の忘恩」というキーワードで検索してくる人の知りたい欲求を満たすには、エラスムスの著作を手当たり次第読み、自分なりに整理し、ブログで発信することが必要になり、非常にコストのかかる作業になるのです。
こうした論理によって、ネット上で発信されていないコトというのは、まだまだ多いはずです。特にこうした学問的、専門性の高い内容には当てはまります。(大学時代に、論文やレポート作成のために、ネットで調べてもなかなか良い情報が出なかった経験はないでしょうか?おそらくこの事例と似た論理が原因だと思います)
しげる的まとめ
ネットで発信されている記事は、世間の人が興味を持っていることが前提になっているものが多い。となると、学術的な内容は比較的少なくなる。
また、学術的な内容に詳しい、学者や専門家は、研究をメインにしており、継続的にブログなどで発信していることが少ない。
素人は、学術的な内容をまとめて記事にすることが難しい。
こうした要因があいまって、学問に関する内容に、ネットで検索するには限界があるといえます。